"風景や移ろいに無常を実感"
- 2017/04/25(Tue) -
IMG_3495代田

~風景や移ろいに無常を実感~
 
 一枚、二枚、三枚…自宅から見える代田に日ごと水が張られていく。
刻々と変化する美しい自然をより美しく映し出す水田は水鏡のようであ
り、清々しく明るい気に満ちた清明の頃に相応しい光景である。

 人生も後半になると、美しい風景を目の当たりにするたび、あと何回
見ることができるだろう、と考えるようになった。阿南市明谷の梅はあと
何回、神山町江田の菜の花はあと何回、つるぎ町柴内の桜はあと何回
というふうに。

 しなやかな美しさの奥に秘められた硬い芯のような無常を実感できる
齢になってくると、ものはこれまでと違った姿を見せるようになり、自ずと
接し方も変わってくる。齢を重ねるということは自分の意思とは関係なく、
様々な変化を余儀なくされることでもある。

 なかなか片付けられない変化を整理してくれるのは時に花鳥風月で
あったり、時に山川草木であったりする。それらもまた、日々変わりゆく
ものであり、私たちは変化の中で一生を過ごす。変わらないことのほう
が寧ろ可笑しく、変わることを恐れてきた前半が今思えば愚かである。
昇る陽、沈む陽のように、無常を淡々と受け入れたいものである。(了)

                              鉄線

(※2017/04/25・徳島新聞「読者の手紙」に掲載済)


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"不要な薬整理 体にも優しい"
- 2017/03/17(Fri) -
IMG_6695あこう

~不要な薬整理 体にも優しい~
 
 医療の高度化、複雑化に伴い、ポリファーマシーが話題になっている。
齢を重ねるにつれ、複数の疾患で複数の医療機関にかかり、菓子を頬
張るがごとく薬を服用する機会が増えてくるためだろう。

 現時点でポリファーマシーの明確な定義はないようだが、不適切に多
い薬が健康をはじめ、医療費などに大きな影響を与えることを指すとい
われている。実際に必要のない薬を服用している場合なども含めて、ポ
リファーマシーとする考え方もあるようだ。

 毎月の給料から天引きされている健康保険。その料率には地域差が
あり、平成29年度の徳島県は全国で6番目に高い保険料率となってい
る。また、徳島県のジェネリック医薬品の使用率は全国で最下位である。

 昨年、父が入院した際、服用している薬を全て持ってくるよう言われた。
1ヶ月後に転院する際、飲む必要のない薬を返され、処分するよう指示
された。飲む必要のない薬が思いのほか多くて驚かされた。

 医療費を抑えるため、安価なジェネリック医薬品が推奨されている。
懐に優しいだけでなく、体への優しさが一番と考えれば、不要な薬をま
めまめしく整理するのも大切だと思う。そうすれば、医療費も抑えられる
のではないか。最近、齢を重ねるのが怖くてたまらない。 (了)

                             鉄線

(※2017/03/17・徳島新聞「読者の手紙」に掲載済)



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"年を取っても慎み失わずに"
- 2017/02/06(Mon) -

IMG_6028waki.jpg

~ 年を取っても慎み失わずに ~
 
  朝のラッシュ時、何気なく前を走る車のバックミラーを見ると、運転
席の女性は化粧をしながら走っていた。おしろいをたたいた後は眉毛
である。実に器用なことと自分のバックミラーで後方を確認し、車間を
少し広めに取った。

 その際、後方の男性は何と鼻毛カッターでお手入れの真っ最中であ
り、思わず二度見した。見えなさそうで見えるのが車の中であり、快適
でこぢんまりとした空間ではあるが、思いのほか丸見えであり、要注意
である。

 プライバシーが確立されている空間に1人でいる時間というのは、慎
みが失われがちである。人前では決してやらないことをやって、慎みの
なさにハッとし、暫し内省する。車の中は残念ながらプライバシーが確
立されていない空間であり、化粧や鼻毛カッターは公開しながら走って
いるのと同じである。また、ながら運転は事故に繋がる危険性を大いに
はらんでいる。

 プライバシーが確立された空間においても、気持ちの端っこには常に
「お天道さまは見ている」という意識を持っていたい。加齢とともに失い
たくないものは慎みであり、時に自分の背中を眺める時間を持ちたい
ものである。(了)
                              鉄線

(※2017/02/06・徳島新聞「読者の手紙」に掲載済)



           
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"昔日の正月風景 目に浮かぶ"
- 2017/01/17(Tue) -
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~ 昔日の正月風景 目に浮かぶ ~
 
 正月とは名ばかりで、近頃の三が日は普段とさほど変わらぬ有り
様である。店の多くは元日から営業を始め、食料を買い込む必要も
なくなった。家々の玄関先に国旗も揚がらなくなり、掲揚する受け金
具がある家が最近では珍しい。実直に揚げられた日の丸を見掛ける
と、何とも新鮮な気持ちになる。

 思えば子どもの頃、お正月様を迎える準備は実に楽しかった。わが
家は一年に1度、年の暮れに障子の張り替えを行い、思う存分、障子
を破いても怒られることのない唯一の日だった。
 
 また、ご近所が何軒か集まり、杵と臼で餅を搗いて、賑やかだった。
搗きたての紅や白の餅を少し頂き、柳の枝に餅花を咲かせるのが私
の役目だった。わが家の正月飾りは茶の間の天井から吊り下げられ、
餅花しだれが華やかに添えられた。今でも良き記憶として鮮明に私の
脳裏に刻み込まれている。

 箸の転んだのもおかしい頃が確かにあった。それは今だから分かる
ことであり、年を重ねるにつれ、楽しみが少なくなり残念に思う。あの頃
と同じ体験ができたとしても今とは空気感が異なり、満足できないであ
ろう。あの頃、悩まされていた痛がゆいしもやけも今となっては愛おしい。(了)

                            鉄線

(※2017/01/17・徳島新聞「読者の手紙」に掲載済)   




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essay・11/12
- 2016/12/17(Sat) -
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毎月、写真を徳島新聞社の「読者の写真コンクール」に出している
知り合いが多い。紙面で名前を拝見し、がんばっておられるな、と
思う。今年の年頭、私も毎月、出してみよう、と決めた。と言っても
撮るほうではなく、『読者の手紙』、書くほうである。

自分の中で投稿は、毎月一篇だけ。2つも、3つも書かない。その月、
その瞬間に感じたことを500字にまとめて投稿。別に掲載されても、
「読者の写真コンクール」のように年間賞をもらえるわけではないが、
毎月書くという負荷を自分に課してみた。

読者の手紙

今年もはや12月。結果は、11/12。6月の原稿だけ採用とならず
残念だった。6月の原稿は、年間を通して一番好きだったエッセー。
"「Sacrifice」から学ぶ"が掲載されず、とても残念であったが、朝刊
には相応しくなかったのかもしれない。文章としてはまずくなかった
と思っている。
http://tessen413.blog118.fc2.com/blog-entry-4499.html

2016年の後半は、両親が倒れたりして、大変な時期もあったが、
夫をはじめ、周囲に助けられ、潰れることなく、何とか乗り切ること
ができた。今年の初めに立てた目標、12ヶ月連続投稿、連続掲載
は、11/12で終わってしまったが、休むことなく書き続けられてよ
かったな、と感じている。知り合いに『阿波圏』を書いてた人がいた
けれど、書くことが見つからない、と頭を抱えていたのが懐かしい。
来年は、少し長いものを、と思っているが、どうなることやら...。

                             鉄線


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