懐かしい遊山箱(ゆさんばこ)
- 2009/01/31(Sat) -
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お昼のローカルニュースで、家の近所で「遊山箱」の展示・即売を
やっていると聞き、撮影しに行ってきました。

今から1年ほど前に、『遊山箱』という小説を当blogに掲載しました。
読んでいただいたかたもおられると思います。「遊山箱」は私の子ど
もの頃の、とても懐かしい思い出の品の一つです。ここ30年ほどの
間に遊山箱は廃れてしまっていましたが、子どもの頃、遊山箱を下
げて野山に遊山(ゆさん)に出かけた、昔はかわいい少女だった?!
各々の楽しく、懐かしい記憶が遊山箱を見事に復活させ、徳島では
現在、ちょっとした遊山箱ブームになっています。昔のように大量生
産ではありませんので、一つ6,000円くらい~50,000円くらいの幅が
あり、(高い~)昔、庶民のお求めやすいグッズも、今、なかなか手
の届かない夢の玉手箱になってしまったようです。「遊山箱」という
言葉を初めて聞いたかたもおられると思いますが、徳島独自の伝統
文化なのです。

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では、実際にどのようになっているかと言いますと‥‥遊山箱は子
ども用のお弁当箱のことで、頭に"とって"がついており、三段重ね
になっています。私は子どもの頃、山村で育ちましたから、ひな祭り
を旧の3月3日に行っておりました。ひな祭りの節句の頃、遊山箱
にのり巻きや柏餅、卵焼きや泡雪寒天、鶏の甘煮などを母親に詰
めてもらい、カバンのように下げて、近所の幼なじみと、れんげ畑や
鎮守の森、原っぱなどへ遊山に行きました。柄や色が一人ひとり
違い、間違うことはありませんでした。インテリアとして一つ、ほしい
ところですが、この鯉の遊山箱で15,000円くらいの値段がついてお
りました。鶴の柄の青い遊山箱もきれいですよね!
                                 鉄線

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午前様と、ザコプロくんと、しろばんば
- 2009/01/31(Sat) -
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昨夜は久しぶりの飲み会でした。雨天決行。話に花が咲き、気がつけば
午前様でした。男性は、「酔っちゃった‥‥」という女性を、かわいく感じる
ようですが、当Tessen's Cafeの店主、え~、つまり、私なんですが‥‥、
幾ら飲んでも酔いません。まぁ、それほど飲まないですけどね。アップロードファイル

何かに心を動かされた時、そのことを500字程度にまとめ、地元の新聞に
投稿したりしていますが、掲載されると、1,000円分の図書カードが送られ
てきます。自分の書いたもので原稿料をもらい、その原稿料で近しい人た
ちに何かをプレゼントする、というのが、私の長年の夢の一つでもあるの
ですが、今のところ、この図書カードが全てですね‥‥。kao05
まぁ、でも、一応、自分の書いた原稿に対していただいたものなので、自分
で使わず、甥っ子や近しい人たちに何かの折りに、何かに添えてプレゼント
しています。

知り合いの息子さん(ザコプロくん)、中学生なのですが、私の投稿したも
のが新聞に載るたび、読み、それをノートに書き写す、という作業をしてくれ
ているようです。”国語力が弱い”ということで、ザコプロくんのおかあさんが
「鉄線さんの文章を書き写しなさい!」と始めたそうです。最近、それを風の
便りに聞きまして、嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、でした。kao03

素人の文章を書き写してくれている - とてもありがたいことだな、と感じて
います。私の拙作は別にして、人の文章を書き写すのは、私もとても良い
ことだと思っています。漢字の書き取り練習をするように、自分の好きな作
家の文章を書き写す。書く力が確実に養われてくると思いますね。何でも
そうなんでしょうが、その"労力"を惜しまないことが力となってゆくのでしょう。
私自身、"労力"も"才能"も足りないようです。

ザコプロくんに手紙を書きました。何が書かれているかはご想像にお任せ
しますが、先日いただいた図書カードと、「しろばんば」という文庫本を同封
しました。「しろばんば」は、私が今のザコプロくんと同じ中学生の頃に、担
任から薦められて読んだ本で、その後、しばらくその作者にはまりました。
それでは今からポストまで投函しに行ってきます。ロードバイク

 追伸  ザコプロくんの関係者のかた。届くまでナイショにしておいてね!

                                     鉄線

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道に迷ったハルモニ
- 2009/01/30(Fri) -
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今日、そろそろ退社しようかな、と思っているところへウォーキング姿の
女性が尋ねてきました。「すぐ近くでおばあさんが道に迷って、家に帰れ
なくなっているので、警察を呼んでもらえますか?」って。
取りあえず様子を見に、その女性に事情を聞きながら、おばあさんのいる
ところまで‥‥。80歳くらいのおばあさんでしょうか。おばあさんの横には
もう1人。犬と散歩中の男性がそばに付き添っていました。おばあさん。
道に迷ってしまったのに、自力で家に帰ろう、帰ろうとするので、女性が私
を呼びに行ってる間に、おばあさんがよそへ歩き出してしまわないように
付き添っていたようです。おばあさんの話す家の住所から会社のある辺り
までは4㎞ほどあると思われ、おばあさん、カートを押しながらではありま
すが、よくここまで歩けたなぁ、と思いましたね。

男性は去り、女性にはそのまま付き添っててもらい、私は近くの派出所に
電話をしに事務所まで。電話した後、またおばあさんと、その女性のいる
場所まで。おばあさんは非常に耳が遠く、「警察が迎えに来てくれるけん、
ここで待っててくださいね」と言っても、なかなか届かない。すぐに「ほな、
そろそろ帰るけん。」と帰ろう、帰ろうとする。話を聞いていると、おばあさん
は、どうやら昔からこの辺りに住んでた人ではないようで、それなら、迷う
かも、と思いました。わかりにくいですからね。おばあさんは、アパートで
独り暮らしのようで、迷ってるところへタイミングよく、親切な男性や女性と
出くわしたものだなぁ、って。

でも、なぜ、このおばあさんが道に迷ってるとわかったのだろう、って不思
議でした。普通にカートを押して歩いてたら、迷っているなんてわからない
ですよね?!おばあさん、転んでたようです。それで、たまたまそばにいた
男性や女性が助け、「迷ってしまった」と‥‥。さぞかし、心細かったことで
しょうね。迎えに来てくれる人はなく、道もわからない。歩きすぎて足も痛い。
寒いし、日は暮れてくるし‥‥。おばあさん。これからアパートに帰って、1
人でご飯の支度をするのかな、って思うと、何か、夕暮れも手伝って、少し
しんみりしてしまいました。

道に迷ったおばあさん、パトカーに乗せてもらい、会社を後にしました。健
康のために歩いているそうですが、車に気を付けて歩いてくださいね。無事
に我が家に帰れてよかったですね!何より、何より。ニコニコ。 横向き

我が家がわからない、のも心細いですし、我が家がない、のも辛いですよね。
帰る家がある、というのは、とてもありがたいことですし、待っててくれる人が
いる、迎えに来てくれる人がいる、というのも、とても幸せなことだなぁ、って。
今日は色々考えながら、我が家まで戻ってきました。
                                   鉄線


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fuulさん撮影の蝋梅です!
- 2009/01/29(Thu) -
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fuul's Diary』というblogの管理人;fuulさんに、蝋梅の写真をいた
だきました。(『fuul's Diary』 → http://fulful.blog29.fc2.com/?no=638)

fuulさんは、私が春夏秋冬、使用させていただいているテンプレートの
作者さんでもあります。H21/1/25付けのfuulさんのblog「紅梅と蝋梅」
のトップに掲載されていたのが、この蝋梅の写真!蝋梅のイエローと、
空のブルーのコントラストがとてもきれいで、見た瞬間、一目惚れをして
しまいました~。キラキラ 心が洗われるような写真です。私はまだ蝋梅の実
物を見たことがないのですが、fuulさん曰く、「ほんのり甘い香り」がする
とか。あぁ゛~、ますます"蝋梅探し"に行きたくなりました~。

この美しい蝋梅の写真を、Tessen's Cafeへお越しの皆様方にも、ご覧
いただきたく、fuulさんに厚かましいお願いをし、写真を分けていただいた
次第です。折角ですので、いつも(320*240)より画像サイズを二回り?
ほど大きくして掲載させていただきました。kao03

fuulさん、どうもありがとうございました!新しいテンプレも楽しみにして
おります。                        
                                    鉄線

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グリーンメノウのブレスレット
- 2009/01/29(Thu) -
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とてもお世話になっているご婦人へのプレゼント用に作りました。
緑がお好きなので、グリーンメノウを中心に石を組んでみました。
青い石もメノウです。ブルーメノウ。その両隣の小さな緑はグリー
ンマラカイトです。例の、"地球のような美しい石"ですね!
後は全てクォーツです。喜んでくれるといいのですが‥‥。プレゼント
(写真と実物では、微妙に石の色が違うので残念です。kao05

私も去年、自分用にレッドメノウのブレスレットを作りました。自分
用のブレスはレッドメノウ以外、周囲はクォーツのみ。もう一本、何
かのブレスと重ねて身につけています。シンプルなブレスレットが
ほしくて自分で作り始めましたが、今日はルチルクォーツのブレス、
ローズクォーツ+スモーキークォーツのブレスをして行こう、と思っ
ています。冬季は洋服の袖で大抵、見えないですが‥‥。

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昨日は、ルチルクォーツのペンダントトップ、ローズクォーツのペン
ダントトップを自分用に作りました。ルチルクォーツは、私の最もお
気に入りの石なんですよね~。kao02
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梅の写真撮影に行きたぁ~い!
- 2009/01/28(Wed) -
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昨夜の夕刊に、徳島中央公園内の梅が咲き始めた、という記事が
載っていました。今日はお天気もよく、3月の陽気らしいので、会社
を休んで、梅を見に行きたい気分です。(週末は雨の予報だし‥‥)
蝋梅の写真を見て以来、"蝋梅探し"にも行きたいんですよね~。
京都・北野天満宮の梅もそろそろでしょうか。京都にも随分行ってな
いなぁ~。でも、月末は休めないですね‥‥。

"梅"と言えば‥‥、去年の梅の頃に、このTessen's Cafeをオープン
しましたから、そろそろ1年になります。早いですね、1年って。
これから梅の頃になると、このCafeをオープンしたなぁ~、って思い出
すんでしょうね。

桜より梅、金閣寺より銀閣寺、京都より奈良の落ち着きや、そこに漂
う閑かさに惹かれるようなところがあり、何れにしても、デジカメ持って
梅の撮影に出かけたい今日この頃なんです。
(あかん、あかん、もうこんな時間。眉毛描いて、口紅塗って、はよ会
社に行かなきゃ!)

                               鉄線

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(写真は、明谷梅林にて撮影したものです。)



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バラードの皇帝-そのほとんどが"別れ"の歌
- 2009/01/27(Tue) -
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今夜は久しぶりに신승훈(シン・スンフン)を聴いています。♪♪
突然、신승훈が聴きたくなったのは、最近、신승훈がゲストの
『夜心萬萬』を見たせいでしょう~。テレビ

신승훈は、韓国で「バラードの皇帝」と呼ばれている歌手なんです
が、自分で作った歌のほとんどが"別れ"の歌で‥‥。ニコニコ。 横向き
신승훈の歌は、韓国の映画やドラマで、たびたび主題歌や挿入歌
として使われています。"愁い"を感じる歌の数々です。

                                  鉄線
   

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『蒼い記憶』 11
- 2009/01/27(Tue) -
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『蒼い記憶』

 予約席はよりにもよって、高地の隣のテーブルだった。私は意識的に
高地の顔が見える側に座った。高地はあの夜と同じ青いシミの付いた
作業着を着ていた。伊藤に気づかれるよう、高地の指先をこっそり盗み
見たが、繊細な指先に藍の青は付着してなかった。
「今夜はやけにご機嫌だね。何かあったの?」
 伊藤は牛肉の塊を口いっぱいに頬ばりながら、いぶかしそうに尋ねた。
伊藤の言うように、高地を見つけてからの私は饒舌だった。話すのが面
倒臭いような極細かなことまで口にした。3ヶ月ぶりに高地と再会し、心
は鞠のように弾んでいたし、この上ない安堵感に包まれていた。同時に
伊藤と楽しくやっている自分を、高地に見せつけたいという愚かな気持ち
も大いにあった。高地を見つけた時から、私の皮膚は高地を意識し、右
半身は高地を凝視していた。高地は海老ピラフを半分以上も残し、食後
のコーヒーもとうに空になっていたが、一向に帰る気配はなく、相変わら
ず、顔は外に向いたままだった。しかし、高地が見ているのは決して窓の
向こうなどではない。見ているのはガラス窓に映るこのGテーブル。その
耳は私たちが発する音を一音も聞き落とすことなく、全て捉えているに
違いなかった。私がガラス窓に映る高地の表情を盗み見るのと同様に。
「今度の日曜、キタムラ家具の社長にまた誘われて、海南まで釣りに
行くことになってるんだよね。ごめん。平日も時間が取れなくて申し訳ない
と思ってる。接待も仕事のうちと思って勘弁してほしい。土曜は空けたから
久しぶりに映画でも観て、その後、食事でもどうかな。」
 もしもこれが、電話での誘いなら、うまい口実を作っていつものように
逃げただろう。隣に高地がいなければ、伊藤にありもしない予定を尤も
らしく話し、やんわりと断っただろう。だが、今夜はそのどちらもしなかった。
「ええ、喜んで。でも、映画よりはドライブのほうがいいんだけど。久しぶり
に遠出したいな」
 そう返した私の声はいつになく甘ったるかった。芝居じみた声が自分でも
気持ち悪く、嫌悪感が自分ばかりでなく、伊藤や高地の身体までも包んで
いるのではないかと不安だった。私は伊藤を何だと思っている…。これでは
本当にただの道具に過ぎないではないか。何れは一緒になるであろう男を
ずっとこんなふうに粗末にあしらい続けている…。わずかな温ささえも感じら
れぬ伊藤との恋愛。伊藤の好意を厚い殻で跳ね返してばかりいる。それとも、
見合い恋愛とはこんな冷めたものなのか…。一つ確かなことは、つきあい始
めはこんな性悪女ではなく、伊藤に全てを委ねるつもりでいたこと。しかし、
現実は全てどころか、たった一本の髪の毛さえ、伊藤のことを想ってやしない。
事実、伊藤のことを考えない日はあっても、高地や坂崎のことを思い出さない
日はなかった。逆に、4年前に自分を捨てた坂崎のことや、何も知らない高地
のことを悶々と考える自分が不思議でならない。正直、自分の心を測りかね
ている。恋愛はまだ早すぎたのかもしれない。あれから4年経ったとはいえ、
経ったのは時間ばかりで、坂崎とのことは未だに消化不良で凭れたままで
ある。行方知れずの坂崎に会い、別れの理由をどうしても聞き出したいという
念が心の隅っこにこびり付いて離れない。そのたった一つを消化することが
できたら、次へ進めそうな気がする。女としての自信を少しは取り戻せるかも
しれない。高地に惹かれている心にも、もっと素直になれるのかもしれない。
だが、高地とのことはもう終わってしまっている。私が感受した高地の言動は
単なる私の思い違い、思い上がりだったかもしれない。私は男を見る目がない。
自分に都合よく解釈しては一喜一憂するおめでたい女なのだ。だから、ここぞ
という時にとても大切なものを見落としてしまう。現に、4年前、見落としてしま
った。
 次の土曜のデートを受けた直後、高地はイスから音も発てずに立ち上がる
と、白いブルゾンを手に取った。
「遠出って、どこへ行きたいの?」
 伊藤の言葉が私には届かなかった。
「大丈夫?聞こえてる?ワイン、少し飲み過ぎたんじゃないの?」
 伊藤はグローブのような手を私の目の前で時計の振り子のように何度も
揺すった。私の気は帰り支度をする高地にあった。見合いの時とは異なる
高地の能面のような表情が先ほどからひどく気にかかっていた。あの夜の
温和な表情はどこへ行ってしまったのだろう。目尻の下がり具合は同じでも
あの夜の温かさは今、感受できない。窓に映る高地の瞳より、実際の瞳の
ほうが幾らも厳しかった。機嫌を損ねたに違いなかった。もちろん、そうなる
ことを狙い、ここにやって来た。でも、堪らなかった。やるせなかった。荒れ
狂う波のような心の動揺を抑えるのに私は必死だった。高地の冷え冷えと
した面が身体の芯まで凍らせていた。今夜、私がやって退けた行為は、
身体にぽっかり大穴が空くほど虚しいものだった。
「ごめんなさい…」
 ひとりでにそんな言葉が私から出ていた。私は我に返り、もう一度、同じ
言葉を繰り返した。その光景を見ていた誰もが伊藤に向かって返されたも
のと疑わなかっただろう。伊藤もそう思ったに違いない。だが、そうではな
かった。私が詫びた相手は決して伊藤ではなかった。私の斜向かいで帰
り支度をする男は、その愚かな詫びを感受してくれただろうか。貧血寸前
のような力のない声は高地の耳にも届いたに違いなかった。高地に詫び
の真意は伝わらなくても、その詫びが上辺でなかったことを信じてもらい
たかった。

(つづく・次回更新は任意です。)
                                  鉄線

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ビタミンカラーのシンビジューム
- 2009/01/26(Mon) -
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今朝、出社すると、事務所受付カウンターにシンビジューム。上司が
家から持ってきて、置いてくれたようです。シンビジュームは3色で、
淡い紫、淡い黄緑、そして、黄色。黄色いシンビジュームは初めて
みましたが、きれいですね~。

黄色い花を眺めていると、次第に気持ちが上向きになってきませんか?
今時分だと菜の花でしょうか。エニシダ、スイセン、フリージア、ひまわ
り、ウィンターコスモス‥‥etc。花に限らず、黄色系とかオレンジ系の
ビタミンカラーは差し色としてもよく使います。今日、たまたまfuulさんの
プログを見ていると、蝋梅の写真がアップされていました。蝋梅という花
があること、初めて知りました。fuulさんは、私がいつも使わせていただ
いているブログのテンプレートの作者さんなんですが、素敵な写真を撮
られます。今日の蝋梅の写真も非常に美しいです。花の質感がほんとに
蝋細工のようで、写真ではなく、実物を見てみたいという衝動に駆られて
います。蝋梅。どこかに咲いてないかな?
(蝋梅がご覧になりたいかたは、リンクからfuulさんのブログへどうぞ。)

シンビジューム。私のデスクの上にも一輪、置いてくれてありました。
う~ん、いい香り!シンビジュームって、これほど香り豊かだったかし
らん‥‥。館内の人たちからも「いい香りですね~」って言われました。
今日はとても贅沢な気分で仕事をさせていただきました。kao03

                                鉄線

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X(エックス)の向こうは、海
- 2009/01/25(Sun) -
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天気予報(雪)、外れましたね~。起きたら、昨日までの風もなく、
それほど寒くもなく、いいお天気でしたので、出かけました。zoomzoom005

やはり、水辺はホッとしますね。海の澄んだブルー、何度見ても
厭きません。海に見とれ、波打ち際でシャッターを押していると、
靴が打ち寄せる波に持って行かれそうになることがあり、今日も
2度3度、靴を濡らしてしまいそうでした。

この海岸、大神子(おおみこ)という海岸です。穏やかで、物静か
な印象です。徳島市内では唯一、防波堤がない天然の海岸という
のも肯けますね。

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トップの「花と海」の写真。何となく、沖縄っぽいでしょう?!物凄く
あたたかいイメージの写真なんですが、水飲み場を覗くと、下記の
ように厚い氷が11時になっても溶けず、しっかり張っておりました。

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大神子海岸は、ほんと、のどかで、ゆったりした、心地よい空間で、
(海は大人の羊水だなぁ~)なんて、思いながら撮影しました。海岸
沿いに遊歩道も整備されていて、近くにテニスコート、ユースホステ
ル、キャンプ場などもあり、ウォーキングやジョギングに来ている人も
思いの外、多かったです。気持ちいいですものね、この空間。鳥たち
も私たちと同じなのか、あちらこちらで、のんびりと日向ぼっこしてま
した。鳥 (チュン♪)

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海岸傍のお家のかたが干し物をしてました。(何だろう?)と思って
近づくと、海老でしたね。おばあさんに尋ねると、浜に打ち上げられ
ていた海老とかで、捨てるの勿体ないから干してダシとして使う、と
おっしゃってました。食べていいよ、と言われましたが、今日の処は
写真だけにしときました。というのも、ちょっと見たことのない形状の
海老でしたからね。何海老なんだろうなぁ???から揚げにしたら
おつまみにイケそうでしたけど~。

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あっ、そうそう。肝心のタイトルでした。なぜ、『X(エックス)の向こうは、
海』というタイトルを付けたかというと、下記の写真ですね。↓↓↓↓
えっ?見たままやん!って?はい、そのとおりです。ニコニコ。 横向き

春の訪れが近いことを感じさせる日和の日曜、なかなかGood!な
ドライブでした。菜の花

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どんぶらこっこ すっこっこ
- 2009/01/23(Fri) -
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会社横の用水路にめずらしいものが流れてきました。こういうのに
何か惹かれてしまうんですよね。これ、何だかおわかりになります
か?トイレの詰まりを取る道具ではありません!何となく、哀愁を
放ちながら、どんぶらこっこ すっこっこと流れてきましたので撮影。
「○○さん、朝から何撮ぃよんで?」と声をかけられ、「特にこれと
いって‥‥」と訳のわからん返事をし、デジカメをかまえているのに、
「特にこれといって」はないだろう、と思いつつ。でも、まさか、この
物体を撮っているとは言えず‥‥。

今日、退社後、しろ子の実家へ行ってきました。12月中旬に生まれ
た双子ちゃんたちも随分と大きくなっていました。前回、弟くんしか
抱っこできなかったのですが、今日はお兄ちゃん、弟くんの両方を
抱っこすることができました。ず~っと抱っこしていたい、ず~っと見
ていたい気持ちになり、随分と長居をしてしまいました。ニコニコ。 横向き しかし、
赤ちゃんって、ほんと、きれいな瞳をしてますよね~。黒でもいろん
な黒がありますが、深みのある上品で澄んだ黒。そんな瞳でじっと
見つめられると、何となく照れ臭いですし、黒い瞳に吸い寄せられそ
うになるほど、赤ちゃんの瞳って実に美しいですね~。

さて、哀愁を放ちながら、どんぶらこっこ すっこっこと流れてきました
物体の正体は‥‥。たぶん、これだと思います。半年前、半年後。

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原因は、ケーブル切断
- 2009/01/21(Wed) -
昨夜、会社から帰って10時頃まで、インターネットが使えませんでした。
ブログも更新できず、メールもだめ。朝まで普通に使えていたのにぃ~。
このままインターネットが使えなくなってしまったら、商売上がったり?!
なので、プロバイダがybb(ソフトバンク)の友達に「インターネット、繋がる
ん?」とあちこちに連絡してみました。どうも、大変お騒がせしました。

しろ子が家にいたら(現在、PCのない実家に帰っている。)、インターネッ
トをすぐに立ち上げてもらい、繋がるか確認してもらうのだけれど、それが
できない。いつまでも繋がらないし、焦りました。結局、プロバイダがybb
の人に確認してもらうことができず、PCが悪いのか、プロバイダが悪い
のか、回線が悪いのか、確認できずじまい。ネットが使えないなら‥‥と、
韓国語の手紙を辞書を引きながら訳してたわけです。

PCを立ち上げてから3時間後、急に繋がりました。繋がっても、プロバイダ
からの説明のメールなどは一切ありませんでしたので、ybbではなかったん
だなぁ~って。

さっき、今日の朝刊を見てびっくり。ソフトバンク「5万人の携帯に障害」
という見出し。徳島市など県工事、ケーブル切断(え~。ケーブル切断てか!)

何でも、県が進める鉄道高架事業の地質調査の作業中、ボーリングの会社
の人が地中に埋まっていたソフトバンクテレコムの光ケーブルを誤って切断
してしまった、とか。(え~、信じられない。)徳島、阿南、小松島などソフトバ
ンクの携帯、メールがつながりにくくなり、約5万人の契約者に影響。固定電
話やインターネットの通信も繋がらないという影響も出た、とか。(出たよ!)
本格的な復旧作業が終わったのが10時、と書いてあり、まさしく10時!
原因は、地質調査会社のボーリング作業中のミスによる光ケーブル切断。
かなんなぁ‥‥。

知らず知らずのうちにインターネット依存症、パソコン依存症になってしまって
います。5分繋がらなくてもイライラしますよね。でも、今回原因がわかったから
ホッとしました。何となく、PCの故障ではない、と思いましたが。やはり、こういう
ミスによる通信障害は、地元のテレビで地震情報みたいに文字で繰り返し流し
たり、ローカルニュースで「ただいま繋がりにくく‥‥」と情報を流してほしいもの
です。わけがわからなくて、あっちこっち電話したり、メールしたり‥‥ムダなこ
としなくて済みますからね。ほんとに。
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寛斎さんに学んだこと
- 2009/01/21(Wed) -
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1月10日付けのブログ【山本寛斎さんの『熱き心展』 in 大塚国際美術館】で
山本寛斎さんのスーパートークライブを拝聴する機会に恵まれ、大いに感化
されたことを書きましたが、その時のことを500字にまとめ、投稿してあったも
のが地元新聞に掲載されました。(写真は同展で撮影したものです。)

                                鉄線

~夢実現方法 寛斎さんに学ぶ~

 鳴門市の大塚国際美術館で、山本寛斎さんの『熱き心展~寛斎元気
主義~』(3月29日まで)が開催されている。
 初日には、寛斎さんのスーパートークライブがシスティーナホールで行
われ、私もお話を聞く機会に恵まれた。
 寛斎さんは一言で言い表すと、火山のマグマのようだった。高温で絶え
ず流動し続ける地下の岩礁のような膨大なエネルギーを、私はそばでい
て感じていた。
 寛斎さんのお話で私が最も印象的だったのは、『夢を持て』という言葉。
夢の大小は関係なく、夢の実現のために未来へ向かって進んでゆくこと
が大切である、と話されていた。寛斎さんはこれまで実現できなかった夢
は一つもないそうである。
 いい歳をして私にも夢があり、人はそれを「羨ましい」と口にする。夢は
夢であり、実現できない夢を羨ましいと言われるたび、私は居心地の悪さ、
決まりの悪さを感じている。夢はただ思い描くだけではだめで、実現のた
めにはほとばしるような熱い情熱、涸れることのないエネルギーが必要で、
また、それに係る手間や労力を決して惜しんではならないことを、私は今
回、寛斎さんから強烈に感じ、教えられた。           

     (T新聞・「読者の手紙」2009/1/20掲載済)

20090110~0329



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임さんからの手紙
- 2009/01/20(Tue) -
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今日、会社から戻ると、임さんから手紙が届いてました。下記、「今日の
お誕生日!の임さん」です。임さんは元々、私の韓国語の先生なんです。
やりとりはいつも携帯メールなんですが、今日は久しぶりの直筆手紙~。キラキラ

何が書いてあるんだろうと開封すると、何と韓国語!(え~、そんな‥‥)涙
B5サイズより一回り小さいサイズの便箋に2枚。楷書じゃないから非常に
読みにくいんです。走り書きのような韓国語、辞書で引くに引けない‥‥。
韓国版のCDに入ってる韓国語の歌詞もそうなんですが、行書?草書?で
書いてある時がありまして、その時は文字を拾えないので、辞書で引くこと
ができないです。目が慣れたら楷書のように読めるんでしょうが、慣れるほ
ど接することがないですので、不意にこういう手紙をいただくと焦りますね~。

まぁ、でも、気を取り直して読み始めると、何だ、読めるじゃん!アハハハ。
読めたのは最初の数行。後は辞書を引きながら、2時間近くかかって1枚
めを読み、2枚めはますます文字が判読不可能になってきたため、本日は
ギブアップ。また明日、続きを読むつもりです。

もちろん、임さんは日本語でも手紙が書けるんですが、私は韓国語で超・
簡単な手紙しか書けませんから、凄いなぁって思いますね。

                                鉄線



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今日のお誕生日!& 大寒
- 2009/01/20(Tue) -
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1月20日、今日は임さんのお誕生日です。
임さん、今年もお誕生日、おめでとうございます!
今日からの1年が元気で、実り多き1年でありますように。
仕事、がんばって!ファイティン!ケーキ

今日は大寒です。1年のうちで最も寒いと言われている日。
インフルエンザが流行っているようですが、임さんも、
Tessen's Cafeへお越しの皆様も湿度を充分に保ち、うがい、
手洗いをしっかりして、ウイルスにやられないように気を付け
てくださいね~。

                           鉄線



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홍초~紅酢~ホンチョ
- 2009/01/19(Mon) -
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홍초-紅酢(ホンチョ)です。韓国広場から去年のクリ
スマスにプレゼントとしていただいたもの。冷蔵庫に入れたまま、きれ
いに忘れておりました。(あっ、홍초を飲むの、忘れとった‥‥。)
홍초は、赤い果物や野菜などを熟成させた韓国産の飲むお酢。
1.人工着色料無添加 2.合成保存料無添加 3.合成甘味料不使用
4.砂糖不使用 というのがうれしいですね~。健康飲料です。

プレゼントにいただいたのは、くまいちごのお酢。牛乳割りにして飲んで
みました。材料:牛乳4:홍초1の割合。お酢に牛乳を入れると、フルー
チェのようになります。フルーチェほどしっかり固まりませんが、少しだけ
凝固します。フルーチェほど甘くはないですが、フルーチェがお好きなか
たなら、홍초はおいしくいただけると思います。

他の味も‥‥と検索してみましたが、今、「ざくろ」しかないみたいですね。
他の味は品切れのようです。

                                 鉄線



 
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梅の花の恋しい頃となりました!
- 2009/01/18(Sun) -
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大神子にある病院まで、あるかたのお見舞いに行ってました。家の近所の
「たまや」でお見舞い用のカステラを買った際、写真の「福梅」があまりにも
かわいらしかったので一つ、買いました。白とピンクのやわらかい色目に惹
かれて‥‥。そういえば、梅の花もまもなくですね。「福梅」を見ていたら、
何だか梅の花が恋しくなりました。去年、明谷梅林へ行きましたが、とても
よかったです。

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お見舞いの後、お昼前でしたので、金磯町の猪虎(いのこ)まで中華そばを
食べに行きました。営業時間は、11:00~16:00なのですが、大抵16:00まで
待たずしてSold Outになります。今月のお休みは、19日と25日。何曜日が
休みというわけではありませんので、遠くから行かれるかたは確認してから
どうぞ。ラブコール 0885-33-0839 猪虎-最近イチオシの徳島ラーメンです!
ね~、ぽん吉さん!

「福梅」-珈琲を飲みながら、花びら2枚をいただきました。中、こしあんで、
ちょっとびっくりしました。(私はあんこが苦手です。)あんこがお好きなかたは、
何個でもいただけるのではないか、と思います。めちゃくちゃ甘くはないです。

                                   鉄線                                    
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『山くじら』 8 (最終回)
- 2009/01/18(Sun) -
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『山くじら』

 煮え切らなかった鉄線の腹は「早く狂い死ねばいい」とあずさが
言い放った時に七分、日付が変わった瞬間に決まった。その腹と
は紗江が誕生日に来なければ復讐を決行し、来れば復讐を中止
するというものだった。鉄線は十一年前に人殺しの濡れ衣を着せ
られたと同じ殺り方で、今の惨めな独居暮らしの原因を作った張
本人を始末するつもりだった。鉄線は猪のように陥穴に向かって
猛進した。後は竹槍を穴底に突き立て、表面に土を張るだけだった。
この一年、通りすがりの女の言葉を真に受け、再会に向けて浮か
れ気分で過ごしてきた自分が鉄線は腹立たしかった。裏切りには
免疫があるはずの鉄線も、紗江の裏切りは胃痛を伴うほどショック
だった。鉄線は大きな奇形の老木、あずさと野田が密会していた場
所に来ていた。そこは今もあずさと愛犬の散歩道であり、人気のない
薄暗い空間だった。鉄線は陥穴に竹槍を立てるため、落ち葉や土を
払い除け、最後に穴を塞いでいた鉄板を横にずらした。
「こ、これは…」
 目の前の光景に鉄線の身体はガタガタと震えた。怒りが一瞬にして
失せるほど鉄線が仰天するのも無理はなかった。鉄板の下に三年が
かりで掘った陥穴がなかったのである。鉄線は目を何度も擦って見て
みたけれど、やはり陥穴は跡形もなく更地になっていた。
「俺は毎晩、穴を掘る夢を見とったというんか」
 邪鬼が宿ると言われる奇形の古木がそびえ立つこの林道を大抵の
村人は通りたがらない。誰がこの陥穴に気づいて埋めたというのか。
鉄線は持っていた竹槍で古木の太い胴を思いきり突いた。竹槍は鳥を
引き裂いたような音を発てて真っ二つに折れ、破片の一部が鉄線の頬
を直撃した。その時、鈴の音がしたような気がして足元を見ると、キー
ホルダーが転がっていた。小さな竹籠の中に鈴の入ったキーホルダー。
鉄線は一目で自分の作ったものだとわかった。それはこの世にたった一
つしかなく、一年前に紗江に贈ったものだった。その瞬間、鉄線はここに
居るはずもない紗江の温もりや体臭の混ざった風を感じていた。

 家の引き戸を開けた瞬間の光景に鉄線は仰天し、暫く動けなかった。
「…紗江」
 オモテの板間から土間に足を投げ出すように紗江が座り、微笑んでいた。
「おい、遅刻やぞ」
 口調は荒々しかったが、鉄線の目は優しかった。
「元気にしとったんか?手紙が来んようになって心配しとったんやぞ。遠い
所よう来てくれたな。ありがとう。腹減ってないか」
 気取りも偽りもない言葉が鉄線から自然に出ていた。ありがとう、という
言葉を鉄線が口にしたのは何十年ぶりのことだろう。鉄線は照れ臭そうに
微笑む紗江を抱きしめた。
 寝間に差し込む月の光を浴び、紗江の身体から青白い光が放たれてい
るのを鉄線は別段驚きもせず眺めていた。一年前と変わりのない紗江の
温もりや体臭に鉄線は嬉し涙を流していた。眠りに落ちゆく中、紗江に「人
を殺めたことはあるか」と聞かれたような気がした鉄線は「ない」と答えた。
その時の紗江の顔といったら、まるで菩薩のようだった。
「復讐するつもりで少しずつ準備してきたことは確かやけど、紗江が来てく
れたけん、復讐するんはもう止めた」

 次に鉄線が目覚めた時、紗江の姿はどこにもなかった。紗江を探しに外
へ飛び出した鉄線が土間からオモテに上がろうとした時、足元に見慣れな
いハンカチが落ちていることに気づいた。ハンカチには一束の髪の毛がくる
まれており、見た瞬間、鉄線は一年前に紗江に切ってもらった自分の髪だ
と思った。
「…やっぱり会いに来てくれとった。あれは夢と違うかった」
 鉄線は紗江との出会いを宿命に感じていた。傷つくのが嫌で今まで無理
から封じ込めてきた紗江への想いを鉄線は手紙にしたため、宝石の入った
小箱と一緒に紗江に郵送した。
「紗江。お前は愛することも、愛されることも、ちゃんと両方できとるけん」
 板壁に掛かるテッセンの絵に向かって、鉄線はそう呟いた。
 
 紗江への想いを綴った長い手紙と宝石箱が、紗江のいた養護施設の元
園長から送り返されてきたのはそれから半月余り後のことだった。元園長
からの手紙は礼儀正しかったが、極めて短いものであり、そこには去る八
月三十一日、紗江が肺を患い他界したこと、生前の懇意に対する礼が切々
と記されていた。《了》  

                                 鉄線



※『山くじら』、いかがでしたでしょうか?ある文学賞に投稿、落選した作品
  でしたが、最後まで読んで下さった方々、どうもありがとうございました。
  以前、『雨月物語』を読んだ時に、漠然とではありますが、自分もこのよう
  な霊的なものが絡む小説を書きたいな、と思って書いた小説でした。

  元々100枚強あった原稿を、文学賞に投稿するのに1/2にカットしました。
  昔は自分が書いた原稿を削除するのは勿体なくてなかなかできなかった
  です。ついつい書きすぎるようなところがありました。今回、原稿を1/2に
  カットできたことで、とてもいい経験になった、と感じています。校正を繰り
  返し乍ら、私の頭の中には、和三盆の「研ぎ」の作業が浮かんでいました。
  和三盆(サトウキビから作る砂糖で徳島や香川の特産物です。)-盆の上
  で砂糖を三度ほど「研ぐ」ことから「和三盆」という名前が付けられたと言わ
  れておりますが、最近では製品の白さを求め5回以上も「研ぎ」の作業を繰
  り返すとか。研いで研いで余分なものを落としていく-という作業が原稿の
  校正作業にとてもよく似ている、と感じたわけです。
 
  とにかく、拙作を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
  他の作品もいつも読んで下さっている方々もありがとうございます。
  『山くじら』が終わりましたので、また『蒼い記憶』の掲載を再開したいと思っ
  ています。研ぐという表現を使うと、『蒼い記憶』はあまりにも研げていない、
  こなれていないので、正直、載せながらかなり恥ずかしいですね~
汗            



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ハウライトトルコのブレスレット
- 2009/01/17(Sat) -
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ハウライトトルコやターコイズのブルーの石が好きです。海の青、空の青、
アクセラの青‥‥ニコニコ。 横向き (それは違うか‥‥) でも、基本的に”ブルー”は好
きで、藍の青が遺伝子のどこかにインプットされているのでしょうか?
”ブルー”は、身につけていたり、眺めていたりすると、ホッとします。そこで
持っているハウライトトルコのイヤリングに合わせ、ブレスレット、リング、ペ
ンダントを作ってみました。作った、といっても、通すだけ。作ったというほど
のものではありませんが‥‥。光の加減でハウライト特有の模様が写って
いないのが残念です。

ハウライトトルコは、古代エジプトでは財宝として重宝されており、邪悪なも
のからのお守り、勇気とやる気をもたらすお守り、旅のお守りとされてきた、
との言い伝えがあるようですね。

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今日の青空もクリアなブルーで、きれいでしたよ!

                                  鉄線

 
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税理士はeuphoria blossom の香り
- 2009/01/16(Fri) -
昨日、大阪から顧問税理士が来社。去年、還暦を迎えた男性で、
そうですね、実際より5歳は若く見えますね。お部屋に紅茶を持
って行くと、何だかとてもいい香り~。そこで、躊躇なく尋ねてみ
ました。

「先生からいい香りがするんですけど、何っていう香水ですか?」
弊社設立以来のお付きあいですので、今では何でも遠慮なしです。
香水。お好きなんでしょう。30の頃から使い始めたとかで、質問の
後、よくぞ、気づいてくれました!聞いてくれました!という感じで
した~。

先生が付けておられたのは、カルバンクラインのeuphoria blossom
(ユーフォリア ブロッサム) だと思われます。カルバンクラインのこん
な形の瓶で、色は紫色、とおっしゃってたので、ネットで探しました。
下記のeuphoria blossomかと。何でも、ヨーロッパに旅行した際、
空港の免税店で購入されたようで、夏と冬で香水を替えておられた
のでびっくり!私など1年中、同じ香水ですから、この先生、なかなか
まめというか、オシャレですよね。

「それで、どこらへんに付けてるんですか?」(いちいち聞くなって?!)
「腋の下です。」
「へぇ~、腋ですか。」(脇、なんだなぁ...。)

仕事柄、若々しく、小ぎれいにしていたい、と常々思っておられる
ようです。「自分とこの税理士がくたびれたヨレヨレのおじいさんだ
ったらイヤでしょう?!」と先生。(まぁ、そうですが‥‥。)何れ、
皺を取る整形もしたいとおっしゃってました。しかし、あんまりやり
すぎると、お客さんに反感を持たれてしまうようで、お客さんより値
段の高い時計、車、服、鞄、靴...etcを持つことはこの業界では
タブーのようです。洋服も還暦の方がチョイスしないようなオシャレ
な柄、色のものを着てはりますし、全部、ご自分でデパートに買いに
行かれます。洋服も値段的にほどほどのものを買うように心がけて
いるとか。ほどほど、と言っても、私などからみれば、とても良いもの
を着てはりますし、持ってはります。要はかなり儲けてはりますが、
それなりに営業もしっかりやり、努力し、色々と周囲に気を遣って
仕事されています。
                               鉄線

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『山くじら』 7
- 2009/01/16(Fri) -
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『山くじら』 

 幽  遠
 紗江が美野村を後にして二ヶ月後、百花山は例年通り狩猟期に入った。
猟師が山の中をうろつく三ヶ月間、鉄線は穴堀りを中止し、その殆どを作
業場で過ごした。しかしながら、子どもの頃から聞き慣れた銃声を耳にす
ると居ても立ってもいられず、また射撃の腕も良かったからアラシを連れ、
他の猟師が立ち入らない所を選んで猪狩りをした。紗江や嶋尾が自分の
捕った猪肉で拵えた山くじら汁を楽しみにしていてくれると思うと、狩りに
出ていても張り合いがあった。
 毎日でも手紙を書くような口振りで村を後にした紗江だったが、十日ごと
の手紙は春からこっち途切れがちだった。鉄線は紗江の熱病が早く冷め
てくれたら気が楽になると思いつつも、定期的に届いていたものが届かな
くなると四隅を止めていたネジの一本をなくしたようだった。なくすまでは
その存在など差ほど気にも止めなかったし、三隅でも別に不具合はなか
ったが、言いようのない心地の悪さに鉄線は存在の大きさを思い知らされた。
 美野村は再び平穏な夏を迎えていた。鉄線は一年前と変わりばえしない
暮らしをしていた。ただ違うのは作業場の板壁にテッセンの水彩画が掛け
られたこと。それは去年の誕生日に紗江から贈られたものであり、額は嶋
尾がお節介で持ってきたものである。この一年。鉄線は紗江のことで気持
ちに張りを感じながら暮らしてきたことは確かだったが、紗江からの手紙は
最近では全く届かなくなっていた。
「女なんか信じるもんと違うな、アラシ」
 誕生日が近づくにつれ、鉄線はそんなことを口にするようになった。

 あの日、紗江は鉄線の髪を切りながら自分の店を持ちたいと強く思った。
美野村で美容院をやりたかったのだ。鉄線に受け入れられなくても、そば
にいるだけでよかった。そして、東京へ戻ってから紗江は勤めている美容
院が引けた後、スナックで働き始めた。開店資金に充てるつもりだった。
一日三、四時間しか眠らない日が続いた。志のためならそんな暮らしを五
年でも十年でも続ける自信はあったが、身体は気持ちほど頑強ではなか
った。身体が怠いからといって身寄りのない紗江は働かないわけにはいか
なかった。また、自分自身への負荷は和孝を死に追いやったことに対する
罰でもあった。抜いた羽で反物を織る鶴のように、鉄線に心を込め、手紙を
綴っている時だけが幸せで安らげたが、それも長くは続かなかった。

 鉄線は朝から落ち着かなかった。次の誕生日に必ず訪れる、と紗江が言
った日が今日である。紗江には「来たければ勝手に来たらええ」というつれ
ない返事をしておきながら、その日が近づくにつれ、鉄線の様子は明らかに
普段と違った。年末でもないのに大掃除をし、押入の布団を干し、わざわざ
町の理髪店に散髪しに出かけた。その帰りに鉄線は小さな時計店で透きと
おった水色の石の付いたプラチナの指輪を買った。ガラス窓越しに見たその
石の澄んだブルーが紗江のようで、そんな店に入ることや指輪を買うことに
ためらいや抵抗がなかったのが不思議だった。鉄線は朝から懐に忍ばせた
宝石の入った小箱を作務衣の上から何度も握った。紗江の喜ぶ顔を想うだ
けで鉄線の顔も緩んだ。
 朝のうち、晴れ上がっていた空にはいつしか雲が広がり、それはまるで鉄
線の心を表しているようだった。紗江は昼を過ぎても、三時を過ぎても現れな
かった。鉄線は不安になるたび作務衣の上から小箱をギュッと握り締めた。
その回数は太陽の傾きとともに増えた。紗江が食べたがっていた山くじら汁
をはじめ、夕食の支度も終わり、後は紗江が姿を見せればいいだけだった。
山裏で洗濯物を取り込んでいた鉄線は人の気配を感じ、顔に笑みを溜めな
がら土間に走り込んだ。
「誰を待ってるのか知らないけど生憎だったわね。余ほど大事な人が来る
みたいね。料理もこんなに作っちゃって。いい歳して全く」
 現れたのは紗江ではなく、あずさだった。
「野田を殺しといて、自分だけ楽しい誕生日だなんて許さない。幸せになろ
うだなんて許さない。お前なんか早く狂い死ねばいい」
 あずさは鉄線のゲタをテッセンの絵に向かって投げた。額が壁から外れ、
ガラスが激しく音を発てて割れた。野田が死んで十年以上になるが、今でも
あずさは祥月命日は勿論のこと、毎月の命日にも墓参りを欠かさなかった。
その足で鉄線の家に立ち寄り、いたぶって帰るのも忘れなかった。
 あずさの来訪から始まった鉄線の不機嫌は時間の経過とともにますます
悪化した。十八時になっても、二十時になっても、二十三時になっても紗江
は現れなかった。やがて柱時計の針が一つになり、その鐘は鉄線に遠慮
するどころか、いつもより大きな音を発て十二を刻み始めた。
「ウォーッ」
 鉄線はその文字盤めがけ、湯のみを投げたのを皮切りに、囲炉裏端に用
意してあった夕食の膳を次から次へと家の前の畑へ投げ捨てた。そして、
最後の大皿を麓に向かって力の限り投げ飛ばした後、先の尖った竹の棒を
片手に絶叫しながら山の中へ消えて行った。

 (次回、いよいよ最終話です。おたのしみに!)                                                             
                                  鉄線

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『山くじら』 6
- 2009/01/14(Wed) -
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『山くじら』

 鉄線が実際に穴を掘る現場を見てしまった紗江は家に戻っても
寝付かれず、そのまま出発の朝を迎えた。鉄線は五時過ぎに戻る
と、紗江の寝間を覗き、作業場で仕事を始めた。その後すぐ、紗江
も手洗いを口実に起き出し、朝食の支度を買って出た。少し疲れた
様子の紗江に鉄線は加減を聞いた。
「これから東京へ帰ると思うと寂しくて。また山くじら、ご馳走しても
らえますか?」
 昨日と変わらぬ鉄線の突き放した答えに紗江はうなだれた。オモ
テの部屋に湿気を含んだ重たい空気が滞留し、鉄線がそれを攪拌
するよう「頼みがある」と言った。
「髪を切って欲しい」
 この十年、誰にも触らせなかった髪を、鉄線は紗江に切ってもらい
たかった。紗江は鉄線をオモテの縁に座らせると時間をかけて髪を
梳かした。そうされているだけで鉄線は紗江に抱擁されている気分
だった。束ねなくても済むようにと言う鉄線の言葉に、紗江は遠慮な
く鋏を入れた。道具は母親の形見の裁ち切り鋏と使い捨ての剃刀
だけである。鉄線は目を閉じ、髪の切れる音を聞いているうちに遠い
昔、母にもそうしてもらったことがあったことを思い出し、しんみりした。
 髪を切り終え、無精髭が最後の一剃りまで落とされた時、鉄線は
自分の首筋に剃刀が立てられたのがわかったが、目を閉じたまま
身じろがなかった。
「来年の誕生日にまた来ますから。来てもいいよって言ってください。
でないと、」
「殺したければ殺したらええ。死ぬんは別に怖ない。俺が怖いんは
裏切りやから。そやし、安易に約束なんかしとうない」
 一年という時間が人の心を百八十度変えてしまうには充分過ぎる
時間であることを経験済みの鉄線は紗江の想いを嬉しく感じながらも
約束を素直に交わすことができなかった。あずさとの離婚後、見事な
変貌を遂げたのは鉄線自身であり、それも負に変貌してしまった。
本意でない現在の暮らしをどうすることもできず、女と約束一つできな
い自分が鉄線はひどく情けなくなり、風呂場へ駆け込んだ。
 鉄線は昨夜の残り湯を頭から何度も何度も被った。鉄線が涙を流し
た最後は母が逝った時である。それ以来、何があっても何をされても
歯を食いしばり、涙を流すなど一度もなかったのに、それが今になって
どうして後から後から涙が溢れ出るのかわからず、泣き続けた。否、認
めたくなかっただけでちゃんとわかっていた。鉄線は変貌した自分を持
て余し、お守りしあぐねていたのである。猪野鉄線という人間を裏切った
一番は猪野鉄線であり、信用ならない最もも猪野鉄線だった。鉄線は
人間としてそんな自分を許せなかったし、男として子孫を残すこともでき
ない自分が情けなかった。あずさの口癖どおりに自分は竹を触るしか
能のないろくでなしで、それを現実だと思うと、自信に満ち溢れていた
昔みたいに積極的になれなかった。自分自身を受け入れられない以上、
どうして他人を受け入れることができよう。また、他人を受け入れない
ことが自分自身を傷つけない最良のやり方だと信じてきた。鉄線が紗江
の想いを頑なに拒み続けるのはそんな気持ちからだった。
 鉄線が髪を流している間、紗江は土間に切り落とされた髪の毛を履き
集めながら、その一束をハンカチに包むと、寝間のリュックのポケットに
忍ばせた。紗江がリュックをオモテまで運んで来ると鉄線が新しい藍色
の作務衣に身を包んでいた。散髪前の鉄線を思うと、別の男に会ってい
るようだった。
「そんなにじっと見るな」
「帰りたくなくなるくらい、かっこいい」
 プライドの高いあずさが口にしたことのなかった甘調な言葉をさらりと
口にする紗江を鉄線は一しきり抱きしめた後、色の違う細竹で格子に
編み上げた絵筆立てと、小さな竹籠の中に鈴の入ったキーホルダーを
手渡した。
「これ、散髪代。どっちも紗江だけのために作ったものやけん」
 紗江は初めてオモチャを与えられた子どものように嬉しがり、声を上
げながら鉄線に抱き付いた。
「シュスランを見ることはできなかったけれど、シキワナに掛かってよか
った」
「何アホなこと言よんな。シキワナだったけん助かったんやぞ」
 言葉が終わらぬうちに紗江は鉄線を身体から離した。
「何のために夜な夜な穴を掘ってるの?」 
 紗江はそう尋ねようとしたが、自分を見つめる優しい眼差しに声が出
なかった。鉄線から発される答えが怖かった。怖ろしくてどうしても聞け
なかった。鉄線の口から人殺しという言葉が飛び出すのも、尤もらしい
嘘が並べ立てられるのも紗江は嫌だった。
「どこへも行かず、この家で待っててくださいね。一年後、必ずまた来ま
すから」
「遠いのに無理して来んでもええ。俺は他に行くとこもないし、どこにも
行かんよ」
「この家、電話がないから手紙書きますね」
「筆無精やし、読んでも返事は書かんよ」
 尻尾を千切れんばかりに振るアラシの見送りとは対照的に鉄線の言
葉は最後まで素っ気なかった。鉄線は自分と身体を合わせても、心ま
では合わせてくれてはいないと思うと紗江は辛かった。これから鉄線の
家を何度も訪れることによって、鉄線に愛されるようになるかどうかはわ
からないが、和孝に何度抱かれても動き出すことのなかった身体の芯
にあるゼンマイのようなものが、鉄線と出会い、回転し始めた。紗江は
そんな『愛する』という感覚を山道を下りながら噛みしめていた。

 (つづく・次回更新は任意です。)
                                  鉄線

http://jp.youtube.com/watch?v=vQ1JAuBeVAE&feature=related
※冒頭写真は、http://www.s-hoshino.com/よりお借りいたしました。
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이루마 - 6집 [피아노와 나] /イルマ- 6集[ピアノと私]
- 2009/01/13(Tue) -
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이루마 - 6집 [피아노와 나]
イルマ-6集 [P.N.O.N.I. (ピアノと私)]というCDを買いました。
残念ながら、下記の曲を試聴していただけるWebが見つかりませんでした。
1集とか2集‥‥に入ってる曲はYou Tubeで聴くことができますので、
イルマをお聴きになりたいかたは、下記のアドレスへ行ってみてください。
http://jp.youtube.com/watch?v=1p_ebSseEq8

이루마のピアノは、私の心のビタミンです。ニコニコ。 横向き

                           鉄線
 

이루마 - 6집 [피아노와 나]
1 Piano
2 Love
3 Joy
4 Loanna
5 Ribbonized
6 Eve
7 Present
8 Letter
9 Sky
10 Journey
11 Hope


※이루마は、韓国語で「志を果たす」という意味の名だそうです。

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『山くじら』 5
- 2009/01/12(Mon) -
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『山くじら』

 闇 の 中
 鉄線の言葉が紗江の全身に矢となって突き刺さった。紗江は心に
痛みを覚えながら、鉄線が丑三つに家を空けるのは復讐の準備をし
ているからではないかと思っていた。もしも、鉄線が復讐などという
虚しく愚かなことを考えているのなら、今すぐ中止して欲しかった。和
孝の事故死の話を鉄線にしたのはそれもあった。朝、風呂場に洗顔
に行くと、風呂場と手洗いの狭い空間に真新しい土の付いた長靴が
隠すように置かれていて、その黄土色の土を見るたび、紗江の脳裏
に陥穴に落ち、竹槍に串刺しになる男の映像と、闇の中で一心不乱
に穴を掘る鉄線の姿が浮かぶのだった。
「理由は何であれ、復讐なんてするんじゃなかったって。復讐は絶対
にだめです」
「復讐は必要悪や」
 鉄線の目が鋭利なナイフのように光っていた。その光の中に紗江は
先ほどと同じ映像を見ていた。その映像が幻想なのか現実なのか、
紗江は確かめたかったが、やはり意気地がなくて言葉にならなかった。
「俺の何を知っとんか知らんけど、通りすがりは黙っといてくれ」
 視線とは裏腹な柔らかな言い回しだったが、思っても見なかった鉄
線の突き放した言葉に紗江は狼狽えた。
「通りすがりだなんて。私はまた会いたいです。こうして食事もしたいし、
話もしたい」
「俺に係わらんほうがええ。ずっとと違うけん、お互いこうしてええ人で
いられる。俺は誰も信じんし、誰からも愛されたことのない不憫な女を
引き取るつもりもない」
 そういう女は愛し方も知らんから厄介だ、と鉄線は「おやすみ」を言う
ように言った。それは紗江が最も気にしていることであり、人から指摘
されたくないことだった。紗江は何も言い返せないまま障子を開け、寝
間の畳にへたり込むと、手当たり次第荷物をつかんではリュックに放り
込んだ。
「じゃ、どうすれば人から愛されるのよ。どうやったら愛してもらえるのよ。
教えてよ」
 スケッチブックに描かれた鉄線に向かってそう呟いた時、紗江は鉄線
を愛し始めたことに気づいたのだった。
「愛や家族が手に入れようと思ても手に入らんこと、一番分かっとるんは
紗江やないか。子どもみたいに無い物ねだりしてどうする」
 鉄線はスケッチブックに描かれた自分から目を反らすことができなかった。
紗江にデッサンされた鉄線は、今の荒んだ姿ではなく、高瀬村で暮らして
いた頃の明朗闊達な姿だった。紗江は自分を白眼視せず、内面までしっ
かり見ていてくれると感じた瞬間、鉄線は言いようのない愛しさを覚えた。
そうとは知らない紗江は急いでスケッチブックを閉じると、隠れて描いたこ
とを謝った。
「人の道に外れたことをしたり、周囲とうまくやれない私は、愛も家族も求
める資格なんてないけれど、」
 遅ればせながら『愛する』という感じが今ようやくわかってきたと紗江は
涙を拭った。
「愛するって苦しいものなんですね。過去に受けてきた仕打ちよりずっと
苦しい。愛されることがもっと苦しいなら、私、誰からも愛されなくてかま
わない」
 鉄線は紗江を抱きしめた。紗江という鏡を見ていると、鉄線は自分こそ
人を愛する資格などないと感じていた。自分はただ過去に一度結婚して
いただけであって、心から人を愛したことがあったのかどうか、愛されたこ
とがあったのかどうか。そんな気持ちを恥ずかしげもなくさらけ出し、真っ
直ぐに向かってくる紗江を鉄線は愛おしまずにはいられなかった。二人は
引き合う磁石のように何時間も離れなかった。

 次に紗江が目覚めたのは鉄線と繋いでいた右手がゆっくりと引き離され
た時だった。午前三時。手洗いであってほしいという紗江の願いも虚しく、
鉄線は長靴に履きかえ、手にはショベルを持ち、闇に導かれるように山道
を登って行った。紗江は鉄線の持つ懐中電灯の明かりを頼りに追いかけた。
紗江は道しるべに契った画用紙を木の枝に挿しながら登った。前方に鉄線
が居ると知りながらも、聞き慣れない山の獣や鳥の啼き声に鳥肌が何度も
湧き立った。そして、それ以上に身震いする光景を紗江は目の当たりにした
のだった。
 鉄線は森の中の気味の悪い形をした大きな木の下で立ち止まった。その
古木は枝が何かを捕らえようとする手指のように節張り、横へ伸びていた。
鉄線は足下の草や土を払い除け、半畳ほどの鉄板を横に引きずった。その
音に眠っていた鳥が一斉に警戒音を発しながらバタバタと飛び立ち、その啼
き声と風圧と抜け毛が闇の中で渦巻き、紗江は目を瞑り、身を屈めずには
いられなかった。
 渦巻きが収まり、穴を掘る規則正しいシャベルの音が聞こえ始めた時、紗
江は目を開けた。鉄線の憎しみの塊のような激しい動きに、髪を束ねていた
紐が切れた。その姿は食堂の主人に聞かされた百花山に棲む全身血色で
長い黒毛で覆われているという鬼を紗江に思い出させていた。紗江は目の
前の鬼が何時間か前に自分を優しみ、抱擁してくれた男とは別人だと思い
たかった。月光が作り出す影が鉄線を一層不気味に映し出した。紗江の鼓
動は鉄線に届きそうなほど高鳴り、鼓動に混じって食堂の主人の言葉が蘇
っていた。
「鉄線は嫁さんを寝取った男を竹槍を立てた陥穴に突き落として殺したんじゃ」
 鉄線は何かに取り憑かれたように陥穴を掘っている。
(野田さんを殺したのは鉄線さん、あなたなの?次は誰を殺そうというの!)
 その時、紗江の脳裏に美しいあずさの顔が浮かんでいた。月と鉄線を交互
に見ながら、紗江はこのままずっと永遠に夜が明けないようにと祈った。

 (つづく・次回更新は任意です。)
                                鉄線


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満月と韓国焼酎とキムチチゲ
- 2009/01/11(Sun) -
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今日もあまり気温が上がらず、寒かったですね。午前中、またまた
あすたむらんどに行ってたんですが、立地場所が山際で日陰の上
に、寒風が容赦なく吹き、時折、雪が舞っておりました。4℃でした。

小1時間ほどのウォーキングの後は、うどんの一匠へ。11時半に
開店なのですが、私は13時頃に到着。13時半には「本日終了」の
カンバンが出され、幟りも早々と仕舞われておりました。凄いですね。
2時間で売り切れ~。最近、食べた釜揚げうどんの中では、やはり、
この店の釜揚げうどんが最もおいしいのではないでしょうか。

こんな寒い夜は、韓国焼酎を飲みながら、月齢14.6の満月を眺めな
がらのキムチチゲ。今年初のキムチチゲです。身体が温まりますよ!
今夜は満月。寒いですが、晴れているので、徳島市の上空は美しい
満月が拝めます。寒いので、風邪、肩こり、腰痛、血圧‥‥etc 色々
お気を付けください。

                                鉄線  




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山本寛斎さんの『熱き心展』 in 大塚国際美術館
- 2009/01/10(Sat) -
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大塚国際美術館へ行ってきました。今日~3月末まで山本寛斎さんの
『熱き心展』が開催されるに伴い、このシスティーナ・ホールにて、寛斎
さんのスーパートークライブが行われるということで、知り合いからチケ
ットをいただいたのでした。

いやぁ~、広い、広い。大塚国際美術館。陶板名画が原寸大で1,000
余点も展示されているとあって、1日ではゆっくり見られません。私も
午前中から入館しましたが、途中、寛斎さんのトークライブが1時間半
くらいありまして、何だか、最後のほうは走り走り‥‥って感じでした。
今度、訪れる時は1人で、音声案内の機械を借りて、ゆっくり回りたい
なと思っています。(※撮影はOK!です。)

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礼拝堂のフレスコや天井画に普段、接することがないですから、礼拝
堂にも縁がなくて、ここは純粋な礼拝堂ではないですが、こういった聖
堂の絵にぐるり囲まれていると、やわらかくあたたかい毛布でくるまれ
ているような、護られているような安堵感がありますね。中には恐ろし
い絵もありますが、そういうのは少し居心地が悪いと感じますが、この
システィーナ礼拝堂の天井画と壁画や、スクロヴェーニ礼拝堂の壁画
空間はそれはそれは心地のよいものでした、ずっと眺めていたいほど。

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山本寛斎さんというかたは、一言で言うと、火山のマグマ炎のようなかた
でした。『夢を持ってください。大きくても、小さくてもいいから』と、おっしゃ
ってたのが印象的でした。寛斎さんは今まで思い描いた夢を一つ一つ‥‥
実現してこられたのですが、夢を持つだけではだめで、やはり、実現のた
めにはマグマのような情熱、エネルギーが必要で、手間や労力を決して
惜しんではいけないと、寛斎さんのお話を聞きながら強く感じましたね。

今日、寛斎さんが着ておられたジャケット、見た瞬間、(ほしい!)と思い
ました。ゴールドのサテン地のジャケットで、前身頃っていうんでしょうか。
鮮やかな赤の牡丹の花の刺繍がしてありました。これが美しくてね‥‥。
家に飾っておきたいと思うほど、でした。しかし、このジャケットを着こなす
のは相当難しいでしょうね。たぶん、ジャケットに負けてしまうと思います。
ジョン・レノンが着たジャケットや、デビット・ボーイが着た衣装なども展示
されていました。ご興味のあるかたは是非、この機会にご覧ください。

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美術館は、去年の夏に坂出市の東山魁夷美術館へ行って以来。久しぶ
りの美術館と、山本寛斎さんにエネルギーをもらって帰ってきました。

美術館の帰りに、しろ子にも会って帰りました。双子ちゃんたちに初対面。
うわっ~、ちっちゃい。お兄ちゃんは寝てたので、授乳後の弟くんを抱っこ
させてもらいました。うわっ、かわいい~。ずっと抱っこしていたいくらい、
連れて帰りたいくらい、かわいかったです~。赤ちゃんを抱っこするのも久
しぶりでした。双子ちゃんにもエネルギーをもらって帰り、今日は満足、満
足の1日でした。

シャモちゃん、今日はご招待、どうもありがとうございました!(感謝!)ニコニコ。 横向き

                                   鉄線

 
 
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木守柿 ふたたび
- 2009/01/09(Fri) -
2008/12/17(WED)のブログで「鳥たちへの施し?それとも」という原稿を
書きました。下記の柿は(って、別にシャレではないのですが) その時の
掲載写真です。

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その際、久保の家さんから、このような柿のことを「木守柿(きもりがき)」と
呼ぶことを教えていただきました。来年もよく実るようにというまじないで、
木に1つ取り残しておく果実で、「木守柿」は冬の季語になっているそうです。

今朝、会社に行こうと外へ出た時に、何の気なしに隣の家の木守柿を見た
んですよね。そしたら、変形していて...。(おぉ~、ちょっと見ない間に腐
っとる!)と思って、急いで近づいて確認してみると、腐っているのではなく、
どうやら野鳥が突っついたようでした。

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今年もこの柿はよく実ることでしょう。そして、この木守柿を啄んでった野鳥
も、子孫をたくさん残すことでしょう。そこに何かがいた、あったことがわかる
もの、余韻とか名残の感じられる風景に個人的に凄く惹かれます。だから、
会社に遅刻しそうになっても、ここで一枚シャッターを、って思うんですよね。
それではここで一句。えっ、何句もいらないって?!汗 わかりました。

   鳥たちに 啄まれても 木守柿 
                             鉄線



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9月からのNHK「朝の連ドラ」、美波が舞台に!
- 2009/01/09(Fri) -
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徳島県内のニュースをネットで見ていたら、下記のような記事が掲載されて
いました。何でも、9月から放送するNHK「朝の連続テレビ小説」に、徳島・
美波町を舞台にした「ウェルかめ」というドラマを制作、放送するようです。
       (写真は、ウミガメの上陸、産卵で有名な日和佐大浜海岸)

(あらすじ)
同町出身のヒロインが失敗を重ねながらも、人々との出会いを通じて成長し
ていく姿を描いた青春ドラマ。徳島県が舞台の「朝ドラ」は、1980(昭和55)年
の「なっちゃんの写真館」以来、2度目となる。

 ヒロイン波美(なみ)の実家は、お遍路さんらさまざまな人が宿泊する民宿。
「お接待の精神」にあふれるにぎやかな家族に囲まれて育った波美は、一流
女性誌の編集者を目指して上京するが、リストラされて徳島市のローカル出
版社に再就職する。そこで古里の海岸に上陸するウミガメの研究者を取材す
るうちに、家族や古里と向き合うようになり、そこで生きていく決意をする。
 タイトルの「ウェルかめ」は、ヒロインの父親が記念に木彫りの子ガメを宿泊
者に渡すときの言葉で、「いつだってウェルカム」の意味が込められている。
 

5月下旬にクランクインし、美波町や徳島市などでロケを予定。ヒロインは今後
のオーディションで決定するようですから、女優を目指しているかたは応募して
はいかがでしょう?当方も若くて、美しければ...。
まぁ、でも、当方、放送時間に家にいないため、NHKの「朝の連ドラ」は見てお
りませんが、美波町のどういうところで撮影されているのかだけ、見てみたいで
すね。

Tessen's Cafeの常連さんはご存じなのですが、私は美波町を初め、県南地域
(美波町(由岐)~海陽町(宍喰))が好きで、たびたびドライブに出かけています。
あまりにも頻繁に出かけているので、南にいい人がいるのではないか、と言われ
たりもします。kao03 やはり、一番は美しい海、ですね。海だけでなく、町の雰囲気、
町の人にも大いに魅了されています。明るくて、暖かく、のんびりしていて、(棲み
たいなぁ...)って、車で走るたび感じています。去年の夏に出かけた宍喰も凄く
よくて、今年の夏もまた、ハイビスカスと青く澄んだ海を見に行きたいです!

あぁ゛~、早く夏にならないかなぁ~。暑いのは全然平気なんですが、寒いのは
ほんとだめですね...。明日の天気、”みぞれ”マークになってますね...。雪 pkk

                                     鉄線

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『山くじら』 4
- 2009/01/08(Thu) -
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『山くじら』

 復  讐
 窓からの秋めいた風とオモテからの人の気配で紗江は目が覚めた。
その気配に昨夜の気まずいやりとりを思い出したが、所詮通りすがり
の人だからと考えるのをやめ、まだ痛む左足を引きずりながらオモテへ
出た。先に挨拶したのは鉄線だった。
「俺とアラシは先に済ませたし」
 鉄線の視線の先に紗江の朝食が用意されていた。卵焼きと子持ち
ししゃもを見た紗江の顔が一瞬曇ったのを鉄線は見逃さなかった。
「お嬢さん、ええ歳して好き嫌いですか?」
 鉄線は笑いながらお焦げの混じった御飯と味噌汁をししゃもの隣りに
置いた。
「結婚して十年経っても子どもができなくて、姑に来る日も来る日もゆで
卵と子持ちししゃもを食べさせられたんです」
 卵とししゃもを既に一生分食べた気がしている紗江は見るのも嫌だった
が、用意してくれた鉄線に申し訳ないからとししゃもを噛んだ途端、戻し
そうになった。
「無理して食べんでもええ」
 紗江はその言葉を鉄線にではなく、別れた夫、和孝に言って欲しかった。
ししゃもを見ていると、紗江は夫にも姑にも愛されないまま家を追い出され
た自分がひどく情けなくなり、気がつけば膳の上に涙を落としていた。鉄線
は再び女に係わることを避け、仕事の途中にも係わらずアラシを連れて散
歩に出た。
 この十年来、鉄線は堂宇参拝を欠かしたことがない。自分に災難や苦悩
しかもたらさない人間に辟易し、身も心も閉ざしながら暮らしている。陰で奇
人狂人と呼ばれていることも知っている。そんな生き方が楽でいいと思いつ
つも、強い孤独感は本当に自分を発狂させるのではないかと内心恐れても
いる。そんな時、堂宇の小さな仏様に心中をさらけ出すことで鉄線は救われ
るのだった。アラシでは決して埋めることのできぬ言いようのない寂寥から
ほんの束の間、解放されるのだった。

 鉄線が辛くして心を許す者がいる。嶋尾という竹製品の卸屋である。その
嶋尾が鉄線の留守中にやって来た。三週間に一度、竹細工や竹製品を買
い付けに町から何時間も掛けてやって来る。鉄線の作る繊細な竹細工は
他の職人の二倍、三倍の高値で売れるのである。
「鉄さん、朝から散歩なんて珍しいっすね」
「おぅ、嶋尾くん、また太ったな」
 鉄線は嶋尾から注文を受けていた竹製品を納品し、その代金を現金で受
け取った。嶋尾は嶋尾で鉄線から頼まれていた食料や日用品をショイコから
取り出し板間に並べた。鉄線は嶋尾から渡された現金でその支払いを済ま
せると昼食の準備を始めた。嶋尾は三週間に一度、鉄線の昼食を楽しみに
していた。嶋尾の目当ては山くじら汁と濁酒で、酔うと持ち前の明るさが更に
増し、ラジオからのどんな音楽にも巨漢を揺らしながら踊った。嶋尾と楽しそう
にやりとりする鉄線に紗江は目を見張った。酔いも手伝い、紗江は笑顔と会
話の絶えない膳に身も心も溶けてしまいそうだった。そして、自分もまた嶋尾
のような存在になれたら、と思っていた。
"登山家の植村直己が北米最高峰のマッキンリーに初の単独登頂成功"と
いうラジオからの声が届かぬほど三人は賑やかなひとときを過ごした。仮眠
から醒めた嶋尾は陽が沈まぬうちにと竹細工をショイコに入れ、竹製品を可
能な限り両手に抱え、下山した。
 その夜、網戸からの風が肌寒く、紗江は目が覚めた。手洗いに行こうと障
子を開けると、オモテに鉄線の姿はなく、柱時計を見ると三時を少し回ってい
た。一時間経っても鉄線は戻らなかった。暁の頃になっても戻らぬ鉄線に紗
江は息苦しいほどの胸騒ぎがしていた。次に紗江が目覚めた時、鉄線は作
業場で竹を編んでいた。

 オモテの板壁には命名札が暖簾のように何枚も貼り付けられている。囲炉
裏の煙で燻され煤けていたが、紗江はその中に鉄線の命名札を見つけていた。
昨夜、寝間で鉄線の帰りを待ちながら描いた水彩画を、紗江は御飯と味噌汁
を運んできた鉄線に差し出した。
「八月三十一日、鉄線さん、お誕生日おめでとうございます」
 もう二度と耳にすることはないと思っていたしなやかな響きだった。画用紙に
は紫色のテッセンが描かれ、それは昔、実家に豊かに咲いていた花であり、
母の象徴のような花でもあり、自分と同じ名の花だった。鉄線は自分の身や
心を鎧のように覆い、護ってきた分厚い氷河が、紗江という太陽に触れ、一気
に融解していくような感情を抑えることができなかった。鉄線はハッピーバース
デーを歌う紗江のふっくらした唇を自分の唇で塞いだ。
 小舟を破戒する時化の大波のように紗江は鉄線に烈しく抱かれながら、いろ
んな顔を併せ持つ鉄線に戸惑いつつも惹かれていた。惹かれれば惹かれる
ほど「人殺し」や「復讐」という不吉な単語が脳裏に炙り出されてくるのも事実
だった。紗江は十年前、野田が陥穴に落ちて逝った真相を鉄線から聞きたかっ
たが、最悪の本当が恐ろしく聞けずにいた。
 房事の後、有休が終わる明日下山するという紗江のために鉄線は一日仕事
を休んだ。シュスランが咲いている場所へ紗江を案内してやりたかったのだ。
二度と訪れることのない客人への手みやげ代わりだった。この十年、鉄線が日
々の過ごし方を変えてまで他人のために仕事を休むなど初めてだった。
 一日掛けて案内された場所がとっておきの場所であることを鉄線は口にしな
かったが、紗江はそれを肌で感じ取っていた。残念ながらシュスランを見つける
ことはできなかったが、紗江は百花山のすばらしい自然をスケッチブックに何枚
も描いた。アラシと戯れる鉄線も後ページにこっそりと描いた。

 その夜、ささやかに鉄線の誕生祝と紗江の送別会が行われた。紗江は鉄線
のために、鉄線は紗江のために料理を拵えたが、料理の腕は鉄線が幾らも上
だった。それでも鉄線は日頃自分が作らぬ洋食を旨いと言って食べた。
「鉄線さんは自分の妻が自分以外の男との間に子どもを宿したら、ショックです
か?」
 紗江の言葉に鉄線の顔が歪んだ。紗江は鉄線を怒らそうと言ったのではなく、
和孝への懺悔のつもりだった。
「お前はそんなこと、人にいちいち聞かんとわからんのか」
 鉄線は持っていた茶碗を土間に叩きつけた。陶器が激しく音を発てて割れる
音に紗江の心拍数は息がしにくいほど上がっていた。
「そうじゃなくて、鉄線さんのことじゃなくて、そんなふうにして和孝を死に追い
やったのは私だから。ずっと後悔して‥‥」
 和孝は役人だった。就職も結婚も子どもの作り方まで姑に言われるがまま
だった。離婚を決めたのも姑で、姑が用意した離婚届に和孝は手慣れた事務
文書を作成するかように記入した。孤独に耐えかね、紗江は結婚話に飛びつ
いたのだったが、結婚後は一層孤独だった。和孝には優しい言葉をかけてもら
ったことは一度もなかったし、愛されるのが大好きな、愛し方を知らない人だった。
美容師の一月分の給料ほどする万年筆で躊躇なく離婚届を書いている和孝を
見た時、紗江の頭には復讐という文字が浮かび上がっていた。
「最後に離婚届だけは二人で出しに行きましょうって言ったんです」
 離婚届を出した後、紗江は家で母と食べるからと言う和孝を無理やり食事に
誘った。復讐を決行するためだった。
「三年ほど前から付き合ってる人がいるの。今、その人の子どもを妊娠していま
す」
 それほど表情を変えた和孝を見るのは初めてで、紗江は嘘がバレないよう冷
静を装うのに必死だった。和孝はトイレに行くと出て行ったきり、食事が運ばれて
も戻っては来なかった。それから三十分後、和孝は家に帰る途中、運転を誤り
事故を起こした。自尊心や気位の高いことを承知で付いた紗江の嘘に動揺し、
和孝は逝ってしまった。初めて明かす秘事だった。紗江の復讐とは和孝の自尊
心をほんの少し傷つけることだった。だが、結果的に和孝は死に、自分が殺した
ようなものだから、誰かに打ち明け、懺悔したかったと紗江は話した。
「心を傷つけるだけでよかっただと?きれい事言うな。言われる身にもなってみい。
だから女は信用ならん。何しでかすかわからん」

 (つづく・次回更新は任意です。)
                                     鉄線


※冒頭写真は、http://www.s-hoshino.com/よりお借りいたしました。

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좋은 향기가 나는 아저씨?!
- 2009/01/07(Wed) -
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昨日、美術館のチケットをプレゼントしてくれた知り合いにお礼のメールを
送ってあったら、下記のようなメールが返ってきました。

1月5日から私の隣席に新しい人がやってきました。
元○○会社の方で、専務として入社してます。(略)
どんなおじさんかなぁ、と思ったら、超・いい匂いがします。(笑)
加齢臭プンプンやったら、嫌やなぁ~と思ってましたけど、
これならずっと隣でもいいです。(笑)
匂いだけじゃなく、腰も低くて、きれいなおじさんです。
年を重ねてもこんな風に素敵な人でいたいですね。


このタイトル。「좋은 향기가 나는 아저씨」と書きましたが、日本語に訳すと、
「よい香りのするおじさん」となります。「チョウン ヒャンギガ ナヌン アジョシ」
と発音しますが、よろしいですねぇ~。彼女の会社には、超・よい香りのする
アジョシがいるみたいで‥‥、アハハハ。ちょっとどんな香りなのか、嗅ぎに
行きたいくらいです。しかも、このアジョシは腰が低くて、きれい、と書いてあ
りますね~。機会があれば、是非お目にかかりたいものです。いえいえ、遠
方から眺めるだけでかまいません。あっ、そしたら、香りがわからないか‥‥。
遠方からでも香りのわかる人は、ちょっとイヤですけどね~。

残念ながら、私の周囲には좋은 향기가 나는 아저씨はいません。そこここ
から、いろんな匂いはしてきますが、좋은 향기ではないですね。笑い。 (怒ら
れるで!) 私も仄かによい香りのする男性は好きです。すれ違った時に、
(わぁ~、いい香り!)って感じるかた、時たまいますが、「何の香水ですか?」
って、思わず尋ねたくなります。私の性格上、知り合いのかたなら尋ねますが、
見ず知らずのかたには、幾ら私でもちょっと聞けないですね。通報されても困
りますからねぇ~。アハハハ。

私は、下記の香水をつけています。ここ何年か、この香水か、ハッピーという
香水を愛用しています。香りを楽しむのが好きですので、また、鼻も利きます
ので、他人様の香りも気になります。

でも、ほんと、彼女のいうように、身も心も小ぎれいに歳を重ねたいものです。
 
                                     鉄線

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